徽州曹素功　藝粟斎

筆管の長さ：13.8cm
筆鋒の長さ：1.4cm
筆管の直径：0.6cm
※ビニール製の筆帽です。
かつて周虎臣の得意の製品であった、五種類の兼毫筆「五虎大将軍」のひとつ、「臣心如水（しんしんじょすい）」です。
「湘江一品」と同じく、中心に厳選した繊細な狼毫（イタチの毛）を集め、周りを兔の毛で覆ってい、さらにその外延を赤く染めたヤギの毛で彩っています。大きさは「湘江一品」よりも若干小さな筆になっています。
材料、構造的には「紅豆」などと良く似ていますが、「紅豆」と異なるのは、中心にあつめたイタチの毛がほぼ周辺のウサギの毛（副え毛）の中に隠れていることです。
これが非常に強い弾性を生み出し、かつ出鋒にあたって内部に仕込まれた狼毫が鋭い収筆を書き出します。ほぼ同じ材料を用いながら、「紅豆」とはまた別種の書き味の筆になります。
用途としては、写経、尺牘、小楷などの細字に適しています。また水墨山水において、岩石に皴をほどこす際や、あるいは樹法にも使用することが出来ます。筆鋒の副毛に硬い兎毫をもちいているため、筆を寝かせた運筆法で使用すると、筆鋒がばらけやすくなります。中国書法の主流である、直鋒での使用に適した構造になっております。
もともとは毛筆が事務用に使われていた時代に盛んに使われた、消耗品ともいうべき安価な筆ですが、今日あらためてその役割を見直してあげたい筆です。
制作に高い技術が必要なこの種の小さな兼毫筆は、単価の割りに熟練の筆工を必要とし、かつ精選された材料を用いなければならなため、近年はあまり作られなくなってきています。細い筆だけに、わずかな材料の差異が品質に大きく影響します。とくに「臣心如水」のような小さな兼毫筆は、材料の選別と加工技術の双方に経験を必要とし、作ることができる筆匠も今や限られた存在です。
この機会に、是非お試しください。

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